古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

生太刀が斬る!

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異母兄の軍勢が射た矢はわたしには当たらず、反対にわたしが射たスサノオさまの生弓矢(いくゆみや)の矢は確実に敵の射手を倒していった。

 

弓矢ではかなわないと悟った相手は白兵戦に持ち込んできた。大勢の敵がわたしに向かって剣をもって斬り込んでくる。数の上では私に勝ち目はない。

 

しかし私には、これもスサノオさまの霊力が宿った生太刀(いくたち)がある。

 

わたしは太刀を抜き、振り下ろす!

次の瞬間、斬り込んできた一人の兵士の剣を振り払い、その兵士を斬っていた!

 

わたしは次々と襲ってくる兵士を斬り倒しては、前進していった。

そして異母兄たちのもとへ攻め込んだ!

 

恐怖にかられた異母兄たち・・・今まで自分たちに従順だったわたしが、こうして理不尽な攻撃に対抗し、単身斬り込んでくるとは、夢にも思わなかったのだろう・・・わたしの鬼気として迫る姿は、まさに鬼に見えたに違いない。

 

異母兄はあるものは逃げ出し、あるものはやけになってわたしに反撃してくる・・・しかしわたしが振り下ろす太刀の前に敵はなかった。

 

わたしは異母兄たちの大半を征伐した。残ったものは私に恭順するか、逃げ出した。逃げたものは放っておいた。どうせわたしに反撃する力はないだろう。

 

こうして、わたしは異母兄たちを征伐すると、スサノオさまのお言葉通り宇迦山のふもとに宮殿を建て、そこで出雲の統治に乗り出した。

まずは出雲を平定し、ゆくゆくは日本全国の支配を画策していたのである。

 

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