古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

生弓矢を射る!

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 スサノオさまの天沼琴(あめのぬごと)がなった。琴は異母兄たちの軍勢がせめてきているとおしえてくれたのだ。

 

「・・・オオクニヌシさま・・・」

母と、スセリヒメは、不安そうに私を見つめる。

 

「なに、心配ない。

スセリヒメ、それと母上、屋敷の戸を閉めてください。屋敷の外には出ないように」

 

そういうと、わたしはスサノオさまの生太刀・生弓矢(いくたち・いくゆみや)を手に取り、単身、屋敷の外に出てきた。

既に異母兄の軍勢が攻めてきているのが見えた・・・

 

木の国まで追ってきたのみならず、私が出雲に帰ってくるやもう攻めてくるとは・・・異母兄たちの執念も大したものだ。そうはいっても、ここで逃げ出すわけにはいかない・・・

いや、以前のわたしなら逃げ出すか、異母兄たちの言いなりになっていた。でも、今は違う。

わずか数日のスサノオさまの試練は、ここまでわたしを変えたのか・・

 

私の姿を見た軍勢は、遠くから一斉に矢を放ってきた。しかし、その矢はみな私をそれて、わたしの後方に、横のほうに飛んでいった。これもスサノオさまの太刀と弓矢が持つ霊力の故なのか・・・

 

今度はわたしが矢をつがえ、一発射る・・・その矢は異母兄の軍勢の、矢を放った兵士に命中した。兵士がどっと倒れるのが見えた・・

 

軍勢からは反撃の矢が降ってくる。しかしどれも当たらず、反対に私が放った矢は確実に、一人ずつ、敵の射手を倒していった・・

 

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