わたしは腰に差していた十束の剣を抜くと、おろちのひとつの頭めがけて、飛び降りざまに切りつけた!!
ぐああーっ!!
天地が揺れるような、おろちの叫び声が響き渡る。
斬られた頭が大量の血を吹き出しながら転がり落ちていく。
おろちはのたうち回り、残った頭の鎌首上げてわたしに反撃しようとする。しかし酒でしこたま酔っている上に、首を突っ込んだ門が邪魔になって、おろちは身動きが取れない。
すべてわたしの計算通りだ!
わたしは次々に頭を斬り落としていく。ふたつ、みっつ・・・そして八つの頭をみんな斬り落とした。
よし・・・やったぞ・・・!
しかし頭を失っても、まだ尾がのたうち回っていた。これをそのままにしておけば後にどんな災厄をもたらすかしれない。わたしは次に尾を斬り落としていった。
ひとつ、ふたつ、みっつ・・・斬るたびに大量の血が噴き出す。流れ出したおろちの血で、斐伊川の流れは真っ赤に染まってしまった。
そして最後の、八本目の尾に剣を入れたときだった。
かきい~~ん
甲高い音が響いた。なんだ?
剣を見ると、その刃がかけていた。
わたしはその尾を切り裂いてみた。
すると・・・
尾の中から、これまで見たこともない、立派な一振りの太刀が出てきたのだ。
なんで尾の中こんなのが?・・・わからないが、その太刀からは神秘的な霊力が感じられた・・・
どうやらただの太刀ではなさそうだ。
こうして頭と尾をずたずたに斬られたおろちは、ついに動かなくなった・・・。
前<<< おろちに切りつける! - 古事記の話
次>>> 八雲立つ - 古事記の話
☆斐伊神社
スサノオと八俣のおろちの血みどろの戦い、その舞台となったのが島根県雲南市の斐伊神社です。近くにはおろちの頭を埋めたという「八本杉」も残っています。
☆山田神社
長野県佐久市の山田神社では、おろちの霊が乗り移ったという「蛇石」が祀られています。
☆斐伊川
何度も洪水を起こしては付近の村々や田畑を飲み込み、その流路を変えてきました。その洪水による被害を表現したものが、ヤマタのおろち伝説だと言います。
また、昔、付近では製鉄が盛んでした。そのころ河原は酸化鉄で真っ赤になっており、これが「流れる血は斐伊川を真っ赤に染めた」という話のもとだとも言います。
≪リンク≫
小説古事記
古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話