オオナムヂは、出雲の国からこの根の国に来た事情を話してくれた。
彼はわたしとクシナダヒメの子孫、6代目に当たる。彼には大勢の異母兄がいて、兄弟たちの末っ子だったそうだ。
異母兄たちは、因幡のヤガミヒメのもとに求婚に向かったそうだ。しかしヤガミヒメは末っ子のオオナムヂを婿として選び、これをねたんだ異母兄たちに殺されようとされた。
そして木の国に住むオオヤビコのすすめで、根の国のわたしのもとに逃げてきたという。
どうやらオオナムヂは、自分の持つとてつもない霊力に全く気が付いていないらしい。その力を発揮できれば異母兄など簡単に蹴散らせるだろうし、その気になれば日本全土も支配できるだろうに・・・
さて、どうしたものか・・・
わたしのもとを頼ってきた以上、力になってやりたいが・・・
そのためには、オオナムヂが自らの力で、自ら持ってる能力に気が付き、延ばしていかなければならない。
どうすればそれができるだろうか・・・
わたしはその夜、オオナムヂを客間に泊めることにした。
オオナムヂを宮殿の一室に案内し、扉を開けると
「ここがお前が寝る部屋だ、入れ」
と言った。
「はい、ありがとうございます」
オオナムヂは素直に部屋の中に入って行った。
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≪伊太祁曽神社≫
オオナムヂは異母兄から逃れるためオオヤビコを頼って木の国に行きました。しかしそこにも追手が迫ると「スサノオの大神が鎮座される根の国に行け!大神はきっと良いように取り計らってくれるだろう」と言われ、根の国におもむきました。
家屋の神オオヤビコは今も木の国(紀伊国)の伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)に鎮座されています。
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