古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

わたしは死んだ

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わたしは異母兄たちに連れられて、伯耆の手間山に来ていた。

 

異母兄は言う

「この山に赤猪が住んでいる。俺たちが赤猪を脅して追い出すから、お前はふもとで受け止めろ!」

「え・・・でも、それはちょっと・・・」

 

いくら何でも、山からものすごい勢いで逃げてくる猪を受け止めろなんて、無茶だ・・

 

しかし異母兄たちは

「うるさい、お前がやるんだ!」

そういうと、わたしを残して山のほうに分け入ってしまった。

 

しかたなく、わたしはふもとで待っていた。

そこに異母兄の声が聞こえた

「おーい!オオナムヂ、行ったぞ!捕まえろ!!」

 

そのとき山の上の方から赤い猪が駆け下りてくるのが見えた。

これが異母兄たちが言ってた赤い猪か・・よし!やるぞ!

わたしは両足を踏ん張り、両腕を広げると、正面から受け止めた・・・

 

・・・・・

 

・・・・・

 

・・・その後の記憶は無い。

 

あとからわかったことだが、この赤い猪は、真っ赤に焼けた岩だった。異母兄たちがわたしを殺そうと、山の上から転がり落としたのだ。

そして私はその岩に焼かれ、押しつぶされて死んでしまったのだった。

 

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☆赤猪岩神社

 

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この話の舞台が伯耆の国の手間山です。そこには赤猪岩神社があり、境内にはオオナムヂを焼き殺した大岩が、再び世の中に災厄をもたらさないようにと地中深く埋められています。

 

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