古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

赤い猪

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わたしはヤガミヒメの屋敷についた。すると、門の前には・・

 

・・異母兄たちが待ち構えていた。

 

「あれ?兄上?どうされたのですか」

「ああ、ヤガミヒメさまは、お前の嫁になるんだとよ!」

 

・・・異母兄がそういうということは、うさぎの話も村人の話も本当だったのか・・

 

「ところでな、オオナムヂ! ヤガミヒメ様は、伯耆の手間山に住んでいるという赤い猪を見たがってるそうだ。一つ我々で捕らえて、赤い猪をヤガミヒメ様にご覧に入れようじゃないか!そうすればお前の結婚にも華が咲くってもんだ」

「おう、その通りだ!早速生け捕りに行くぞ」

「さあ、早く行け!俺たちも手伝ってやる!」

 

異母兄たちは口々にそういう。異母兄に逆らえなかったそのころのわたしは

 

「はい、わかりました」

と答えるしかなかった。

 

それにそのころのわたしは人を疑うことを知らず、異母兄たちの話もそのまま信じ込んでしまったのだ。

 

しかしそれはヤガミヒメへの求婚に失敗した異母兄たちの、わたしに向けられた妬み、そして恐ろしい罠だった・・・

 

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