古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

琴の予知

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わたしはオオナムヂからオオクニヌシと名を変え、根の国スサノオさまのもとから日本に戻ってきた。スサノオさまの娘、スセリヒメを妻にして。

 

私は出雲に帰り、スセリヒメとともにまず母のもとを訪ねた。

「母上!ただいま帰りました」

 

母は喜びあふれる顔で迎えてくれた。

「オオナムヂ!帰ってきたのね・・・なんか、前よりすごくたくましくなった気がするわ・・・あら、どなた、そちらの娘さん?」

 

わたしは木の国、根の国での出来事を母に話した。

 

「・・・そうなの・・・あの、お兄様方にいいように使われていたオオナムヂが・・・いや、今はオオクニヌシだったわね・・・嫁をねえ・・・

スセリヒメさま、オオクニヌシをよろしくお願いいたします」

 

「お義母さま、こちらこそ・・・」

 

その時だった、

 

ぼろろ~~お~ん

 

突然、根の国から持ち帰った、スサノオさまの天沼琴(あめのぬごと)がなったのだ。

いや、今度は木に触れたわけではない。誰も手を触れないのに、ひとりでになったのだ。

 

「なんだ?」

 

スセリヒメが答える

「父上のこの琴は、神の霊力を持っています。何かを知らせようとしているのかもしれません」

そういうと、スセリヒメは琴を弾きだした。

 

・・・美しい音色だ・・・まるで川のせせらぎを聞いているような・・・

しかし・・・その音色の中に何かを感じる・・・不安というか、不吉のようなものを・・・なんだろう、美しい旋律の中に感じるこの嫌な感覚は・・

 

スセリヒメは手を止めた。流れていた音楽はやんだ。

そしてスセリヒメが言った・・

 

オオクニヌシさま・・・お兄様方が軍勢を率いて、この屋敷に攻め入ろうとしています・・・」

 

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オオクニヌシの自伝 目次

 

 

 ☆オオクニヌシになって

 

古事記には出雲の国で異母兄に攻められたことや、根の国での出来事については詳しいのですが、出雲に帰って来てからは

「その太刀・弓でもって八十神(やそがみ・異母兄のこと)を坂の嶺に、また川の瀬に追い払い、初めて国を作った」

と、あっさりと終わらせています。

ここからしばらくは私の拙い創作を交えて拙ブログを進めていきます。

 

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