古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

わたしは変わった・・

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 スサノオさまは眠り込んでしまった・・・

 

よし!今だ!

わたしは心の中で叫んだ。

 

もう潮時だ、スサノオさまのもとから逃げ出そう!

そう思ったのである。

 

そして、部屋の隅に控えていたスセリヒメに、眼で合図を送った。

「わたしは行くよ・・・一緒に来てくるかい?・・・」と

 

スセリヒメはじっと私を見つめ返す。その眼は

「あなたについていきます!」

と、力強く語っていた。

 

なぜ、そんなことを考えたのか・・・わからない。

ちょっと前まで、異母兄たちに騙され、逃げ回っていたころのわたしならば、思いもしなかっただろう。この威厳あるスサノオさまから、しかもその娘を連れて逃げ出そうなんて・・

スサノオさまの数々の試練が、私を変えたのか・・・

 

わたしはスサノオさまの髪をそっとほどいた。そしてその長い髪を、広間を支えている柱に結びつけた。

さらに念を入れて、部屋の入り口を500人でも動かせないような大岩でふさいだのだ。

 

そしてスサノオさまの生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)、天沼琴(あめのぬごと)を持ち出した。この剣と弓矢、琴にはスサノオさまの霊力がこもっているのだ。これがあれば地上世界に行っても向かうところ敵はないだろう。

そしてスセリヒメ背負うと、スサノオさまの屋敷を抜けだし、地上の日本へと急いだ。

 

うまくいったかに見えた・・・しかし・・・

 

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