わたしを殺そうとした異母兄たちは、さっさと逃げ出していた。
「母上・・また助けていただいたのですね・・ありがとうございます」
母はわたしに向かって心配そうに言う
「オオナムヂ、無事でよかった ・・・でもここにいると、いずれお兄様方に殺されてしまうわね・・
このまま、お逃げなさい。木の国にいらっしゃるオオヤビコさまのもとに行くのです。オオヤビコさまならきっといい知恵を出してくれるでしょう」
確かにその通りだ。純朴だった若い頃のわたしとはいえ、さすがに異母兄たちに対する警戒心も感じ始めていた。
かといって異母兄たちに立ち向かうだけの力は当時のわたしにはない。ここは一旦、出雲から離れたほうが良いだろう・・
わたしは母に
「はい、わかりました。母上もお元気で」
と言って別れを告げると、そのまま木の国へ向けて旅立っていった。
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☆木の国
雨が多く森林が生い茂っていることから「木の国」と言われるようになりました。後に「国名は二文字の好字で表す」と定められ「紀伊」と呼ばれるようになりました。
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