新羅から帰還後もしばらく皇后オキナガタラシヒメは筑紫の詞志比宮(かしいのみや)に滞在していたが、そのうち御子ホムダワケを連れて大和に戻ることになった。
しかし、皇后の不在中、大和では不穏な動きがあった。皇后の御子ホムダワケを差し置いて、仲哀天皇と他の后との間に生まれたカゴサカとオシクマの兄弟が、次の皇位を狙っているというのである。
このことを知った皇后は、喪船を造りそこに御子ホムダワケを乗せ、瀬戸内海を大和に向かって行った。そして行く先々の港で「御子はお亡くなりになった」と嘘の情報を流したのである。
さて、大和で、この嘘の情報を聞いたカゴサカとオシクマ。これは絶好の機会だとばかり、軍勢を用意し河内まで進軍して行った。
天皇亡き今、いちばん力を持っているのは皇后である。皇后さえ殺せば、朝廷は自分の思い通りになるのである。
しかし斗賀野(とがの)の地まで来たとき、念のため、事の成否について占ってみることにした。兄のカゴサカはクヌギの木に登り、神に念じてみたのである。
すると・・
そこに現れた一頭のイノシシ、カゴサカの登っている木の根元をいきなり掘り始めた。そして木から落ちてきたカゴサカを食い殺してしまった・・・
・・・どう見ても、占いの結果は超がつく「大凶」だ・・・
これを見て弟のオシクマはそのまま引き返していれば、何事もなく終わっていただろう・・・
しかし皇位に目がくらんだオシクマは、攻撃をやめなかった。
「なんだ、たかが占いじゃないか!」
とばかりに進軍し、瀬戸内海を上ってくる皇后の船を待ち受けたのである。
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☆斗賀野
現在の大阪市北区兎我野町と言われています。
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