古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

白鳥は飛んでいく

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サホビメの忘れ形見となった天皇の御子、ホムチワケ。天皇は愛情をもって育てていた。

尾張に二股に分かれた珍しい杉があると聞くと、わざわざその杉を取ってこさせて二股に分かれた小舟を造り、それを大和の池に浮かべて御子を連れて遊んだ。

 

しかしそのホムチワケ、言葉を話すことができなかった。鬚が胸のあたりに伸びるような大人になっても、一言もしゃべることが無かったのだ。

 

そんな時、空に一羽の白鳥が飛んできた。

その時、ホムチワケは飛んできた白鳥を見て、言葉を発した・・・

「アギ・・・アギ・・・」と

 

これを聞いて、天皇やその臣下は大喜びだった。天皇は、直ちにあの白鳥を捕まえてこいと命じた。

命じられたオオタカは、飛んでいく白鳥をどこまでも追っていった。

 

木国から針間国へ、さらに稲羽国に至り、丹波国から多遅麻国へ、東に行って淡海国に至り、三野国を超えて、尾張国を通って科野国、最後に高志国に至った。そして和那美の水門で網を張って、やっとのことでその白鳥を捕まえた。

その白鳥を持ち、都に帰って天皇に献上した。

 

天皇はこの鳥を見せれば御子は言葉をしゃべるに違いないと喜んだ。しかしその鳥を見せても、御子がものをいうことは無いかった。

 

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☆白鳥は飛んでいく

 

飛んでいく白鳥を追うオオタカ・・・

大和→紀伊→播磨→因幡丹波→但馬→近江→美濃→尾張信濃→越(越前・越中・越後)→和那美の水門(所在地不明)・・・と、飛んでいく白鳥を追っかけて行ったのだから、スーパーマンも及ばない超人的な能力の持ち主ですね。

逃げる白鳥も、よくそんな体力あったなあ・・

 


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