ワカヒコはシタテルヒメをオオクニヌシの屋敷まで送り届けた。オオクニヌシはワカヒコに感謝し、歓迎した。しばらくワカヒコはオオクニヌシの屋敷に滞在することになった。
ワカヒコは熱心にシタテルヒメの看病を行い、シタテルヒメは感謝で答えた。やがてそれは二人の愛に変わっていった。
シタテルヒメの傷はすぐに癒えた。
そして二人はオオクニヌシの祝福のもと結婚した。
八年の歳月が過ぎた。ワカヒコとシタテルヒメは幸せな日々を送っていた。
ワカヒコは高天原から降りてきたときの使命を忘れたわけではなかった。
しかし、今はオオクニヌシの娘婿の立場である。このままいけば、自分が次代の日本の国の支配者となることだってあり得ないことではない。
ワカヒコは、高天原で受けた使命と、今の自分の境遇の葛藤にはまっていた。しかし、この幸せな日々を手放したくはなかった。
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☆この話も・・
前話に引き続きぼくの創作が入っています。まあ、自分の使命と現実の境遇との葛藤は、スパイものには時々あるストーリーですが・・
このくだり、古事記では
「ワカヒコはその国(日本)に降りると、オオクニヌシの娘シタテルヒメを娶り、その国を自分のものにしようと企んで、8年たっても復命しなかった」
と記述されています。
☆天稚彦神社
滋賀県にあり、シタテルヒメがワカヒコを葬った地と伝わっています。