古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

アメノトリフネが来た

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ワカヒコは死んだ。

高天原から見れば、ワカヒコは裏切り者だ。誅殺されて当然とみるべきだろう。

そしてワカヒコが誅殺されたということは、高天原は次の手を打ってくるに違いない。

 

しかし日本の国の譲渡を迫る高天原のアマテラス大御神に対して、どのような対策を取ればいいのだろうか。

とりあえず万一の場合に備えて軍備は整えておいた。

 

しかし全面戦争となれば、日本の民も大きな被害を被るであろう。それだけは避けたいものだ。

平和裏に解決する手段はないものか・・・

 

わたしは考えあぐねていた。幾度となく軍参謀や重臣を集めて会議を催したが、いい案は出なかった。

 

そんな折のことである。ついに高天原からの、三度目の使者がわたしのもとに訪ねてきたのだ!

 

その使者は、もはやホヒやワカヒコのような甘い態度は全く見せなかった。

相手はわたしに面会し、自分は副官のアメノトリフネだと名乗ると

 

「正使のタケミカヅチ閣下は稲佐の浜で待っておられる。ついては貴殿は直ちに稲佐の浜までご足労願いたい。

もし本日中にお越しいただけなければ、直ちに総攻撃に移る準備はできている!」

 

否も応もない。一方的にそれだけ言うと、わたしの宮殿から出て行ってしまった。

 

やむを得ない・・・

わたしは日ごろから信頼している二人の神を連れて、稲佐の浜に出向いていった。

 

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≪稲佐浜≫ 

 

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