古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

タケミカヅチとオオクニヌシ

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タケミカヅチとアマノトリフネはそろって出雲の国、伊耶佐の小浜に降り立った。早速アマノトリフネはオオクニヌシを呼び出しに行った。

 

もはや、ホヒやワカヒコのようなじれったいことはしない。

 

オオクニヌシに会うと

「アマテラス大御神の使者としてタケミカヅチが伊耶佐の浜に降りてきている。

直ちにそなたは伊耶佐の浜にお越しねがいたい。もし今日中に来なければ、高天原はそなたの国に対して総攻撃に移る用意ある」

と、一方的にそれだけ伝えると、タケミカヅチが待機する伊耶佐の浜に戻っていったのである。

 

一刻後、オオクニヌシが伊耶佐の浜に現れた。二人の神を伴っていた。

 

一方タケミカヅチはというと・・・

 

波打ち際に、剣をさかさまに突き刺し、その鋭く尖った刃の先にあぐらをかいて待っていたのである。

 

オオクニヌシの姿を見ると、何の挨拶もなく、いきなり大きな声で言う

 

「アマテラス大御神の使いで参った。いま、そなたが治めている日本の国は、本来は日の神が治めるべき国である。そなたは直ちにアマテラス大御神のもとに日本の国を返すべきである。そなたの心はどうか」

 

タケミカヅチは名の通り雷の神である。その声はまさに雷鳴のごとく、恐ろしい音で出雲の山々にまで響き渡った。

もはや交渉ではない、恫喝である。

 

もっともオオクニヌシにしても、スサノオの試練を乗り越え、異母兄たちを追い払い、自分に従わぬ神を攻め伏せ、日本を支配してきた百戦錬磨の勇士である。全く動じることなく、表情一つ変えず冷静だった。

 

オオクニヌシは静かに答えた。

「ここに二人の息子を伴ってきております。この二人は私がまつりごとを行うにあたって頼りにしている、参謀役ともいえる存在です。私が答えずとも、息子たちが答えるでしょう」

 

オオクニヌシが連れてきた二人の神は、彼の息子だったのだ。

 

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☆稲佐浜

 

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この恐喝・・・いや、外交交渉がおこなわれたのが、出雲大社にほど近い稲佐浜です。国引き神話の舞台でもあります。

 

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