ニニギの自伝 7
こうして我々は、高天原を離れていった。
案内役のサルタビコを先導に、八重に重なる雲をかき分けて、天の浮橋を渡って日本に向かい降りていく。
・・どのくらい進んだだろうか、天の浮島で立ち止まる。そこに立ち、後ろを振り返ると、すでに高天原は雲の彼方にかすんでいた。
前を見ると、これも雲のはるか彼方に、日本の国の山々がかすんでいる。
わたしは身が引き締まる思いだった。
そうだ、わたしは最高神の祖母アマテラスから、この日本の国の支配を任されたのだ・・・日本をより豊かな国にするためにも、気を引き締めて統治してゆかねば・・
我々は進んでいった。
「ニニギさま、あれが目指す、筑紫の高千穂のくしふる嶽でございます」
霞の向こうに緑豊かな山が、はっきっりと姿を現してきた。
わたしは天の浮橋から、高千穂のくしふる嶽に降り立った。
こうしてわたしは、日本の国に降臨したのだった。
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☆天の浮橋
神話の昔、地上の日本と天上の高天原との間に架かっていたとされ、神々はこの「天の浮橋」を通って日本と高天原を行き来していました。
京都府宮津市の天橋立は、天の浮橋が倒れてできたと伝わっています。
☆くしふる嶽
ニニギが降臨した「くしふる嶽」、各地に伝承地が伝わっています。
神話の故郷とされる高千穂、その高千穂神社の近くにも「槵觸峯(くしふるのたけ)」と言われる山があり、山の中腹には「槵觸神社(くしふるじんじゃ)」が建立されています。
(「槵觸峯」は日本書紀での表記、古事記では「久士布流多氣」と表記されています)
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