スサノオは力強い声で言った。
「よし、安心しな、俺に任せろ。この俺がヤマタのおろちとやらをやっつけてやる」
「え・・・」
「ところで・・・きれいなお嬢さんだね。クシナダヒメと言ったね。どうだろう、アシナヅチさん、お嬢さんを俺の嫁にもらえないだろうか」
意外な展開に三人は戸惑った様子で顔を見合わせる。
アシナヅチが口を開いた。
「あの・・・娘を嫁にと申されましても・・・私どもはあなた様のお名前さえまだうかがっていないので、なんとも・・・失礼ですが、どちら様でございましょうか」
「ああ、そうだな。」
スサノオはにっこりと笑顔を見せた。
「俺はスサノオといいます。今、天から降りてきたところです」
それを聞くと、三人の表情が一瞬にして変わった。絶望の闇に一筋の光が差し込んできたようだった。
「え、スサノオさま・・・アマテラス大御神さまの弟君でいらっしゃいますね。これは恐れ多いことでございます。娘のクシナダを、どうぞよろしくお願いいたします」
「おう、ありがとう。これで決まりだな。もう、何の心配もいらんぞ。ふふ、明日が楽しみだ・・・」
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☆稲田神社
スサノオが求婚したクシナダヒメの生誕地とされています。近くにはクシナダヒメが産湯を使ったという「産湯の池」や、臍の緒を切った竹べらををアシナヅチが土に差しておいたらそれが芽を出し育ったという「笹の宮」があります。
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