古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

根の国に移り住む

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 私が出雲の国の支配者となり、幾年もの年月が経った。

 

わたしとクシナダヒメの間には息子のヤジマヌミが生まれていた。そしてわたしはある時、出雲の国の支配をヤジマヌミに譲り、引退したのである。

 

わたしにはクシナダヒメのほかにも妻がおり、その妻たちとの間にも多くの子がいた。その中の一人、スセリヒメを連れて、わたしは出雲を離れ旅に出たのである。

 

そして、わたしは根の国に赴いた。そして根の国に宮殿を建て、そこに落ち着いたのである。

 

根の国とは、日本の地の奥底にある国である。

 

わたしは、昔から母神のイザナギを慕っていた。わたしにあうことなく、黄泉の国(よみのくに)に行った母・・・会いたかった。そのため父神イザナギに勘当されても・・・

 

しかし母イザナミに会うことはできなかった。イザナギが大岩で黄泉の国への出入り口をふさいで以来、母がいる黄泉の国とは行き来はできなくなってしまっていたのだ。

 

それでも私は、少しでも母に近いところにいたかった。なので、せめて黄泉の国に近い、日本の地底にある根の国に移り住んだのである。

 

多くの子の中からスセリヒメを選んで連れてきたのも、スセリヒメにどことなく、会ったこともない母の面影を感じたからだった。

 

そしてわたしは根の国の宮殿で、娘と二人で暮らしていた。

そんな、ある日ことだった・・・

 

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スサノオの自伝 目次

 

☆スセリヒメ

 

スサノオの娘スセリヒメ、古事記にはその生母も、また生い立ちも何も語られていません。

 

一方、出雲国風土記では、スセリヒメは出雲国神戸郡滑狭郷(いずものくに かんどのこおり なめさのさと)に住んでいたことになっています。その地にはスセリヒメが産湯を使ったという伝説が残る「岩坪」があり、近くにはスセリヒメを祀る那売佐神社が建立されています。

 

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