古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

酒を用意し垣根を造る

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「よし、それでは早速、おろち退治の準備にかかろう。クシナダヒメ!」

「はい・・・」

「ちょっと失礼」

スサノオクシナダヒメに近づくと、ひょいと抱き上げた。そしてフッと息を吹きかけた。すると不思議、クシナダヒメの体は一本の櫛に変わったのだ。スサノオはその櫛を頭に差した。

 

そして老夫婦に向かって言った。

アシナヅチさん、テナヅチさん」

「はい・・・」

「お酒を集めてください。できるだけ強い酒を、なるべくたくさん」

そこでアシナヅチテナヅチは村人たちにも呼びかけて酒を集めた。その夜のうちに老夫婦の家の庭には酒樽がうずたかく積まれた。

 

夜が明けた。

スサノオのおろち退治の話を聞き、多くの村人が集まっている。スサノオは皆に呼びかけた。

「では、皆さんにも協力お願いします!アシナヅチさんの屋敷の周りをぐるりと取り囲む垣根を作ってください。垣根には門を八つ造っておき、その門ごとに酒を入れた大きな樽を置いてください」

村人は協力してスサノオの指示通り働いた。村人たちもこれまで、ヤマタのおろちには散々ひどい目にあわされているのだ。

 

夕方近くになって垣根は完成した。酒がなみなみと入った酒樽も門ごとに置かれた。

 

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古事記の話 目次

 

 

☆酒

 

宗教によって酒の扱いは異なっており、イスラム教では飲酒を禁じているのは有名です。一方、キリスト教カトリックではワインがイエスの血の象徴とされ、宗教儀式には欠かせないものとなっています。

 

日本では昔から「お神酒上がらぬ神は無し」といわれ、酒は神様にお近づきになれるアイテムとしてあがめられてきました。一方、外来宗教の仏教では「不飲酒戒」があり酒は禁忌のはずですが、日本のお坊さんたちは「これは酒ではない、般若湯(はんにゃとう)という薬だ」なんて強引な言い訳してお酒を楽しんでました。

 

梅雨の真っ只中、今日も蒸し暑いですね。

つめたいビールでもいかがですか。

 

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