川沿いに上っていくと、そこには小さな村があった。
すでに日は暮れ、静まりかえっている。もう、みな寝ているのだろう。電気がない時代は日没とともに就寝するのが当たり前だった。
そんななか、村の中にぼーっと光る、小さな灯を見つけた。わたしはその灯に引き寄せられるように近づいて行った。
そこは、村の中でもひときわ大きな屋敷だった。ムラオサ(村長)の屋敷だろうか。
その屋敷の庭を見てみると・・・
そこに焚火がたかれていた。火の周りだけ明るい。
その火に照らされて、年を取った男女が二人、若い娘を挟んで座り込んでいるのが見えた。夫婦と、その娘であろう。
その老夫婦と娘は、泣いていた・・・こんな夜に、どうしたというのだろう・・・明らかに普通の様子ではなかった。
いったい、どうしたというのだ?
わたしは屋敷に入り、その老夫婦と娘のそばに近づいて行った。彼らは私が近づいても何も気づかない。ただひたすら三人で泣き続けている。
なにか、よっぽど切羽詰またことがあったのだろうか・・・
わたしは声をかけた
「おい、お前たち・・・どうして泣いている?」
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