古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

再び出雲へ

野見宿祢の自伝 17

 

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「陛下の夢に出てきた神は、出雲に鎮座されますオオクニヌシの大神でございます」

占い師は言った。

 

「出雲・・・というと、ノミ、そなたの出身地だな。そなたが出雲国造を退いて上京してからは、息子のキイサツミが後を継いでオオクニヌシの大神の祭祀を行っていると聞いておるが・・」

陛下が仰せになる。

 

「はい、左様でございます。実はオオクニヌシの大神が鎮座なさっている神殿はもうかなり古く、あちこちに傷みが出ております。以前より建て替えを検討してはおりますのですが、近年国が豊かになるとともに人心は神から離れ、思うように寄進が集めりませぬ。そのため現在は傷んだところを小修理しながらしのいでいる状況であります。

オオクニヌシの大神は、そのことを陛下に訴えたかったのでありましょう」

わたしは答えて申し上げた。

 

陛下は

「そうか、それはいかんな・・・父の崇神帝もオオモノヌシの大神を祀って国が安定した。天神地祇をお祀りすることは国家鎮護の基本だ・・。

よし、さっそくホムチワケを出雲に遣わし、オオクニヌシの大神を祀らせよう。朝廷の責任において神殿も新たに作り直そう。

 

ノミ、そなたは出雲の地の事情にも詳しかろう。一緒に行ってホムチワケを導いてはくれぬか」

 

「はい、謹んでお受けいたします」

 

こうしてわたしは、ホムチワケさまと一緒に故郷の出雲に向かうことになったのだった。

 

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野見宿祢の自伝 目次

 

 

☆曙立王・菟上王

 

拙ブログでは能見宿祢がホムチワケに従ったことにしていますが、古事記においては垂仁天皇は誰が行けばいいか占いを行い、その結果「曙立王」(あけたつのみこ)と「菟上王」(うなかみのみこ)の兄弟がキイサツミと一緒に出雲に向かったことになっています。

 

曙立王と菟上王は同母の兄弟で、ヒコイマスの孫となります。

ヒコイマスは開化天皇の皇子で、古事記では崇神天皇の御代に丹波の平定のため派遣されています。

 

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