古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

仲哀天皇の崩御

神功皇后の自伝 3

 

 

「オキナガタラシヒメさま・・・陛下が・・・天皇陛下が・・・崩御されました!!」

 

わたしは建内宿祢(たけうちすくね)の言葉に衝撃を受けた!

「え!?・・・タケウチ!それはどういうことです!?」

 

何しろ夫の天皇は、わたしに神が降臨して気を失うまで、何事もなく神琴を弾いていたのだ!

 

・・・建内宿祢が語ったところによると・・・

 

わたしに神が降臨し、わたしが正気を失った後、神はわたしの口を借りて次のように言ったそうだ

 

熊襲を攻めても何の得にもならないであろう・・・それより西の国を攻めよ!

西の方には金銀はおろか、目が輝くような数々の珍しい財宝を持つ国がある。

その国を支配下に置くがよい。そうすれば、日本の国はますます栄えるであろう」

 

しかし、この神託を聞いた夫の天皇は、

 

「高い山に登って西の方を見たことがあるが、国など見えなかった・・ただ大きな海が見えるだけだ・・・

この神、いい加減なことをいう神だな・・」

 

そういって、神琴を弾くのをやめてしまったという。

すると、わたしに降りた神は、怒って言われたそうだ・・私の口を借りて・・

 

「そなたはこの天下を治める資格はない!そなたが行く道は、たった一つしかないであろうぞ!!」

 

これを聞いた建内宿祢は、神罰を恐れて夫の天皇に進言したそうだ

「恐れ多いことです、神の怒りをそのままにしてはいけません。陛下、琴をお弾き続けなさいませ」

 

建内宿祢に言われた天皇は、再び琴を弾き始めた・・・しかしその弾き方は全くいい加減で、うわの空で適当に弾いていたのだ・・・

・・やがてその琴が聞こえなくなった・・・

 

・・・建内宿祢が近寄ると、天皇は琴に手をかけたまま、死んでいたというのだった・・・

 

 

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神功皇后の自伝 目次

 

 

 

仲哀天皇

 

仲哀天皇神功皇后

 

神功皇后仲哀天皇の妃です。

仲哀天皇は前話の主人公であったヤマトタケルの皇子です。

 

本文はおおむね古事記の流れに沿って構成しています。

 

日本書紀においては橿日宮(かしいのみや)において占いを行い古事記と同様の神託を得ましたが、結果を信じず熊襲征伐を強行して敗退し、橿日宮に戻ったところで病死しました。

 

仲哀天皇の御陵は大阪府藤井寺市の岡ミサンザイ古墳とされています。

 

岡ミサンザイ古墳 wikipedia

 

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