古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ヤマトヒメから

ヤマトタケルの自伝 4

 

 

わたしは伊勢に来ていた。そして叔母のヤマトヒメを訪ねていった。

ヤマトヒメは伊勢神宮斎宮としてアマテラス大御神に仕えている。

 

「伯母上、お久しぶりです」

「あら、オウス!しばらく見ない間に大きくなったわね!元気してた?!」

 

ヤマトヒメはわたしを歓迎してくれた。神に仕える身として独身を貫かねばならないヤマトヒメは、甥であるわたしをまるで我が子のようにかわいがってくれている。

 

わたしはヤマトヒメに言った

「伯母上、実は父上から、西国のクマソタケルの兄弟を征伐するよう命令されまして・・・それでこれから九州に行くんです」

「あら、そうだったの・・・それにしても、まだみずらも結っていない稚児姿のオウスにねえ・・・

陛下もまた、無茶をさせるわね・・・」

 

「いえ、大丈夫ですよ・・・つきましては伯母上、お願いがあるのですが」

「あら、何?私にできることなら何でもしてあげるわ、言ってごらん?」

 

「はい、実は・・・伯母上のお着物をお借りしたいのですが・・・」

「え?わたしの着物?いいけど・・・なんに使うのか知らないけど、好きなのを持っていきなさい」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

こうしてわたしはヤマトヒメの着物を借りると、それをもって九州への旅路に着いたのだった。

 

 

前<<<  ねぎ教え諭せ - 古事記の話 (hatenablog.com)

次>>>  屋敷に潜入 - 古事記の話 (hatenablog.com)

 

ヤマトタケルの自伝 目次

 

 

 

☆ヤマトヒメ

 

ヤマトヒメは前章の垂仁天皇の物語において、伊勢神宮を創設しアマテラスを祀りました。

 

kojikinohanasi.hatenablog.com

 

ヤマトタケルの物語では、彼の活躍を後ろから支える重要な役回りを演じています。

また、神に仕える女性ということから、邪馬台国卑弥呼に比定されることもあります。

 

ヤマトヒメは皇大神宮伊勢神宮内宮)別宮の倭姫宮に祀られています。近くの尾上御陵(宇治山田陵墓参考地)がヤマトヒメの墓とされています。

 

倭姫宮と尾上御陵

 

古事記・古代史関連の姉妹サイト≫
 
小説古事記
古事記ゆかりの地を訪ねて

古代史探訪


≪その他の姉妹サイト≫

 

カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話

 

ツイッターもしています≫

https://twitter.com/sikisima10