野見宿祢の自伝 23
アマテラス大御神の御魂はヤマトヒメさまに託された。ヤマトヒメさまは大御神の魂の鎮まるところを求めて各地を旅していた。
ヤマトヒメさまからは逐次、状況について便りが届いていた。
ヤマトヒメさまは宇陀の筱幡(ささはた)に一旦落ち着いたそうだが、そこも大御神が鎮まるにふさわしい地ではなかったという。
そこから近江から美濃へと、渡り歩いたそうだ。
そして、伊勢の国に至ったときのことである。
その日の朝、伊勢の東の海から日が昇ってきた。その時、ヤマトヒメさまの心の中に、凛とした声が響いてきたそうだ。
「神風がそよぐこの伊勢国は、常世からの波も打ち寄せ、大和にもほどよい近さにある良い国だ。わたしはこの地に鎮まりたいと思う」
それは、アマテラス大御神からの神告であった。
さっそくヤマトヒメさまは、その地に社(やしろ)を建てて、そこに大御神の御魂を祀った。そして五十鈴川の上流に斎宮を建て、ヤマトヒメさまは大御神の御杖代としてアマテラス大御神に仕えることになったということだった。
この報を受けたとき、陛下は
「これからはは伊勢に鎮まったアマテラス大御神のもと、ますますこの日本は発展していくだろう」
と、喜ばれたのであった。
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☆伊勢神宮
≪伊勢神宮内宮 正宮≫
こうしてアマテラスの御魂は伊勢の地に鎮座されて現在に至ります。
ヤマトヒメはこの後、ヤマトタケルの話において重要な役割を果たすことになります。
また、伊勢神宮に落ち着くまでに一時的に祀られた場所は「元伊勢」と云われ、畿内を中心に各地に伝承地が残っています。
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