神武天皇の自伝 16
・・・・・・・・・・
・・・いったい、どうしたというのだ・・・・
・・・・そうだ・・・わたしは熊に襲われ、兵士もろとも気を失ったんだった・・・
・・・・と・・・すると・・・
「え、こうして寝ている場合じゃないぞ!!」
わたしは飛び起きた。そこには・・・
一人の男が立っていた。
その男は、私が気が付いたのを見ると、膝まづき、ひと振りの剣を捧げ持って私に差し出した。
「・・・なんだ、そなたは・・・?」
わたしが問いかけると
「はい、わたくしは熊野のタカクラジと申します。アマテラス大御神の使いで、この剣を天の御子にお届けに参りました」
「なに?アマテラス大御神の使いだと・・・?」
わたしは訳が分からなかったが、とにかくその剣を受け取った。すると・・・
今まで倒れていた兵士は、皆気が付いて起き上がった。
そして、我が皇軍を襲った熊も、倒れて死んでいたのだ!!
タカクラジの話では、この熊は熊野の山の荒ぶる山の化身だということだった。
天の御子であるわたしが、アマテラス大御神の霊力がこもった剣を受け取ったことで、熊野の山の荒ぶる神は皆おのずから斬り倒されてしまったのだろう・・・
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☆タカクラジ
熊野本宮大社によると、タカクラジは熊野国造の祖となったアメノホアカリ(天火明命)の子だそうです。
タカクラジは神武東征の後、越の国(後に律令制により越前・越中・越後に分割)の開拓を命じられ赴きました。
越後の国、新潟県西蒲原郡弥彦村の弥彦神社に主祭神として祀られています。
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