古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

三人の女神が生まれる

 オモイカネの自伝 7

 

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スサノオの大神が仰せにになられました。

「姉上・・・ならば、互いにうけいをして、子を産みましょう・・・」

 

こうしてアマテラス大御神とスサノオの大神のきょうだいは、互いに子を産むことになりました。人の世となった時代では考えられない、まさに神代のことでありましょう。

 

二神は、高天原の中央を流れている天安川(あめのやすかわ)を挟んで向かい合いました。二神は何も言わず、張り詰めた空気が覆っていました。

周りには高天原八百万の神々が取り巻き、かたずをのんで見守っていました。

 

先に沈黙を破ったのはアマテラス大御神でした。

 

スサノオ、そなたの剣を渡しなさい」

アマテラス大御神が仰せになりました。

スサノオの大神は、黙って腰に差していた剣を抜くと、それを両手で頭上に捧げて、うやうやしく差し出しました。

 

その剣を受け取ったアマテラス大御神は・・・

 

鋼でできた頑丈な剣を、ボキボキとまるで枯れ草を折るように、いとも簡単に三つに折ってしまいました。そして三つに分かれた剣を天真那井(あめのまない)から湧き出る神聖な水ですすぎ清めたかと思うと、口に入れてかみ砕きました。

 

いったい、何が始まるのか・・・わたくしたち八百万の神は、緊張したまま成り行きを見守っていました。

 

すると・・・アマテラス大御神は、口に含んだ剣をふーっと吹き出しました。その息は周りに広がり、乳白色の霧となってわれわれを包み込んだのです。

 

そして、その霧が晴れてくると・・・

 

そこには三人の、とても美しい女神が立っていました。タキリビメイチキシマヒメタキツヒメの三女神でした。

 

後の話になるのですが、この三女神はアマテラス大御神の命により九州の宗像に降臨し、玄界灘を渡る船の安全をつかさどっております。

    

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オモイカネの自伝 目次

 

 

宗像大社

 

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中津宮がある大島≫

 

この時産まれたスサノオの三人の娘は今も宗像大社に鎮座されています。

 

そこは古代より瀬戸内・北九州から大陸に渡る重要な拠点であり、この地を支配した宗像氏は絶大な権力を持っていました。

 

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