神武天皇の自伝 17
タカクラジの持ってきてくれた剣のおかげで、我が皇軍は息を吹き返し荒ぶる神も退けられた。
「タカクラジ、ありがとう。助かったよ。でも、どうやって、この剣を手に入れたんだい?それに、アマテラス大御神の使いって、どういうことだ?」
「はい、夢を見たのです」
そしてタカクラジは、自分が見た夢について話し出した。
そこは、高天原の神殿だった。
アマテラス大御神が、タケミカヅチを召し出して
「日本の国では今国が乱れて、わたしの御子たちが大変な苦労をしています。この日本の国はそなたが平定した国です。
タケミカヅチ、もう一度日本に下って、わたしの御子たちに力を貸してあげてください」
と命じたそうだ。
これに対しタケミカヅチは
「わたくしが下りなくても、日本を平定したこの剣をおろせば十分でしょう。これをタカクラジの倉におろし、彼に届けさせましょう」
と、答えたという。
そんな夢から目が覚めたタカクラジは、さっそく倉に行き、剣を見つけた。そしてすぐに届けに来たのだという。
「・・・そうか・・・タカクラジ、ありがとう。おかげで助かったよ。
・・・アマテラス大御神など、遠い昔のことだと思っていたが・・・天の上から我が皇軍をしっかり見守ってくださっていたのだな・・・」
わたしは東の空を仰ぎ、改めてアマテラス大御神に祈ったのであった。
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☆石上神宮
タカクラジがイワレに届けた、タケミカヅチが日本を平定したという剣。つまりタケミカヅチが稲佐の浜に突き刺して切先に胡坐をかいて座ったという剣なのでしょうね。
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