山幸彦の自伝 25
産屋の中にいたのは・・・ワニだった!
ワニがのたうち回って、子を産んでいたのだ!
わたしはびっくりし、そして思わず一歩退き・・・
その時、足元の小石に足が当たり、カタッと小さな音を立ててしまった・・
・・・しまった!・・・いや、こんな小さな音に気付くはずないだろう・・・ワニは・・・トヨタマヒメは、子を産む最中でそれどころではないはずだ・・・
わたしはそーっと後ずさりして産屋から離れると、一目散に駆け出した・・・
そして産屋から充分離れたところで立ち止まり・・・
・・・まだ息が上がり、心臓の鼓動がドキドキしている。いや、走ったからではない!産屋の中を見た光景が、頭から離れないのだ!
美しいトヨタマヒメは、ワニだった・・・でも、それが何だというのだ!ワニと言えば、海の王者じゃないか!そんなワニがわたしの后だなんて、誇らしいことじゃないか!!
そうだ、どんな姿だろうが、トヨタマヒメはわたしの愛する后だ!
わたしの前で美しい姫でいてくれれば、それでいいじゃないか!!
その時だった。私の背後から声がした。
「ホオリさま・・・」
その声に振り向くと、そこにトヨタマヒメが立っていた。赤子を抱いて、美しい姫の姿に戻って・・・
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☆鵜戸神宮
この時トヨタマヒメの出産のために建てられた産屋の跡が宮崎県日南市の鵜戸神宮と云われています。
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