山幸彦の自伝 16
3年ぶりに日向に帰ったわたしは、高千穂宮に戻っていった。
「兄上、ただいま帰りました」
「ん、ホオリか?お前、この3年の間、どこに行ってたんだ?お前がいない間、わたしは一人で政務を見ていたんだぞ!
・・・それで・・肝心の針は、見つけてきたんだろうな?!」
「はい、探し出してまいりました」
そう言って、わたしは赤鯛の喉に引っ掛かっていた針を差し出した。
「おお、確かに、この針だ!!」
兄ホデリは、喜んで針を受け取ろうとした。その時、わたしはくるりと後ろを向き、ホデリに背を向けて
「オボチ、ススチ、マヂチ、ウルチ」
と、海神から教えてもらった言葉をつぶやいた。
ホデリは「なんだこいつ、おかしなやつだな」と思ったに違いない。しかし、それより針が帰ってきたといううれしさのほうが勝っていたのだろう。早速、海に釣りに出向いて行った。
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