オモイカネの自伝 25
ニニギさまが、わたくしたち多くの神々を従えて日本に降臨しようとしていた、その時でした。
地上の日本から、上は高天原を、下は日本を照らしながら、昇ってくる神が見えたのです。
われわれの中に、一気に緊張が広がりました。
ニニギさまは、わたくしに仰せになりました
「オモイカネ、これはいったい、何が起こっているのだろう?・・・」
そのニニギさまのお顔、明らかに不安な様子が浮き出ています。突然起こったこの事態に、どう対処すればいいのかわからない、といった感じで、ひどく動揺されていました。
わたくしはニニギさまに申し上げました
「ニニギさま、どうぞ気をお静め下さいませ。一国の統治者となるものがそんなに動揺されていては、従者臣民にも不安を与えてしまいますよ。
なに、ご心配は無用です。ニニギさまをお護りするためにわれわれがいるのですから。
とにかく、まずは、昇って来た神の正体を探ることが先決です」
それを聞いたニニギさまは、すこし安心されたようです。
「ならば、その神の正体を探るには、どうすればいいだろう」
と、おおせになりました。
わたくしは
「ここは、ウズメに確かめさせてはいかがでしょう。ウズメはか弱い女神ではありますが、何事にも物おじしない神であります」
と、申し上げました。
早速、ニニギさまはウズメを呼び出し、日本から昇って来た神の正体を探るよう、お命じになったのでした。
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☆ニニギ
ニニギの古事記に表記されている本名は「天邇岐志國邇岐志天津日髙日子番能邇邇藝命」(あめにきしくににきしあまつひこひこほのににぎのみこと)です。
これは「天(高天原)にも国(日本)にも親和的な、天の神、日の御子、稲穂がよく実る神」という意味になるそうです。
ニニギとは古語の「にぎにぎし」からきており、稲穂が豊かに実るさまを表しています。現代語の「にぎやか」と語源は同じです。
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