古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

御子たちのその後

 オモイカネの自伝 35

 

f:id:karibatakurou:20210519101110j:plain

コノハナサクヤヒメさまがお命を懸けて天の御子だと証明した三人の皇子。ホデリ、ホスセリ、ホオリと名付けられました。

次男のホスセリさまは残念ながら、病がもとで早逝いたしました。しかし長男のホデリさまと三男のホオリさまはすくすくと成長していきました。

 

そしてわたくし、オモイカネも日向の、ある豪族の娘を嫁として迎え入れました。そしてほどなく男の子の兄弟が産まれました。長男がウワハル、次男をシタハルと申します。

ウワハルもシタハルも、ニニギさまの御子たちと兄弟のように仲良く、元気に育っていきました。

 

そして二人の我が子が成長した時、ニニギさまから東国の開拓を命じられました。

ウワハルは命に従って信濃国の阿智へ、シタハルは武蔵国秩父へ赴いていったのでございます。

 

そしてニニギさまの御子、ホデリさまは海での釣りがうまく、日向の民は海幸彦と呼んで親しんでいました。一方ホオリは山での狩りの達人となり、山幸彦と呼ばれるようになりました。

そしてお二人の御子が成長した時、ニニギさまは日本の統治権をふたりの御子に譲られました。以後はお二人で日本の国を共同統治することになったのでございます。

 

ニニギさまの譲位と同時に、わたくしも引退させていただきました。

 

考えてみれば、造化三神タカミムスビの子として生まれ、高天原では皇祖アマテラス大御神に仕え、天孫ニニギさまに従って日本に降りてくるという、波乱にとんだわたくしの一生でした。

そして天の御子と同様、限られた命となった今、わたくしは妻とふたりで余生を送っております。

 

これからは若い世代が日本の国を発展に導いていってくれることでありましょう。

 

― オモイカネの自伝 完 ―

  

  

前<<<  炎の中で - 古事記の話 (hatenablog.com)
次>>>

 

オモイカネの自伝 目次

 

 

☆ウワハル・シタハル

 

オモイカネの子、ウワハル・シタハル(天表春命天下春命)は記紀には記載がなく、「先代旧事本紀」(せんだいくじほんぎ)という史書にその名が出てきます。

 

ウワハルは信濃の阿智氏の祖となりました。戸隠神社の宝光社や阿智神社などで祀られています。

 

wikipedia 戸隠神社

 

wikipedia 阿智神社

 

シタハルは武蔵の知々夫国造ちちぶのくにのみやつこ)の祖となりました。多摩市の小野神社や府中市の小野神社などで祀られています。

 


wikipedia 小野神社(多摩市)

wikipedia 小野神社(府中市)

 

☆オモイカネの自伝、完結です。

 

これまでの拙ブログで書いてきた神話をまた別の視点から書いてみました。

このつたない文章をお読みくださいまして、誠にありがとうございます。

 

次はちょっと古事記を離れて、出雲国風土記に載っている国引き神話を、これも神様の自伝という形で書いていきたいと思います。来週、11月6日(土)19時30分ごろ公開の予定です。

引き続きよろしくお願いいたします。


≪リンク≫
 
小説古事記

古事記ゆかりの地を訪ねて
カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話
鉄道唱歌の話