古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ウズメが出てくる

 

 オモイカネの自伝 26

 

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ニニギさまは、地上の日本から昇って来た神の正体を確かめるよう、ウズメにお命じになりました。

 

そうこうしているうちにも、その神はどんどん昇ってきて、われわれの前に姿を現しました。

・・・その姿・・・!!

 

鼻の長さは七咫(あた)はあるでしょうか・・・背の高さは七尋(ひろ)、座っても七尺(しゃく)はあるでしょう。

そんな巨大な姿で、口や尻からは明るい光を放っています。目も鏡のように光っていて、その様はあたかも真っ赤なほおずきのようです。

 

われわれはその姿に圧倒されていました。

そう、ニニギさまも・・・その恐ろしい姿に真っ青になって、ガタガタ震えています。

わたくしは、ニニギさまに申し上げました。

「落ち着いてください、ニニギさま。ウズメがこの神の正体を確かめます」

 

すると、背後からウズメが現れました。その姿!!

 

着物をはだけて、両方の乳房があらわになっているのです!着物の帯もずれて、へその下まで垂れています。おかげで大事な部分も丸見えになっています。

 

「・・ウ・・・ウズメ!!なんだ、その恰好!!」

わたしはびっくりしてウズメに言いました。

しかし、ウズメはその問いには答えず、あっはっは~~と大笑いしながらわれわれの前を通り過ぎました。そして、日本から昇って来た神の前に立つと

 

あっはっは~~~!!

 

前にも増して、大声を立てて笑うのでした。

 

さて・・・地上から昇ってきたその神は、ウズメの裸の姿、大笑いの声に圧倒されています。

なるほど、そういう作戦だったのか・・・ 

  

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☆ウズメ

 

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ウズメの古事記での表記は「天宇受賈命」、日本書紀での表記は「天鈿女命」です。(読みはいずれも「あめのうずめのみこと」)

古事記は「ウズメ」の発音をそのまま漢字の音にあてたものですが、日本書紀の「鈿」は「かんざし」「金飾り」の意味です。すなわち「かんざしで髪を飾った女」という意味になります。

 

一方「古語拾遺」にはウズメについて

「古語に天乃於須女(あめのおずめ)という。その神は強く荒々しく激しい神であったので、その様子を名としたものである」

と記されています。

 

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