わたしは根の国、スサノオさまがいると思われる宮殿の前に来ていた。
わたしは宮殿の戸をたたいた。
「はい、ただいまあけます、しばしお待ちを」
中から声が聞こえた。若い女性の声のようだ・・
そしてぎいーと鈍い音をたてながら戸が開いた。そして戸の中から出てきたのは、それはとても美しい娘さんだった・・・
きれいだ・・しばらく我を忘れて娘さんに見入っていた。彼女も私を見つめている・・・
・・・・・・・
そのまましばらくの時が経った・・
・・・・
ふとわたしは我に返り、本来の用件を切り出した
「わたしはオオナムヂと言います。わけあってスサノオさまに会いに来たのですが、こちらがスサノオさまの御屋敷でしょうか?」
・・・・・・・・・
言われた娘の方も、はっと我に返ったようだった・・・
・・・・・
・・・・そう、この時われわれは、互いに恋に落ちていたのだった・・・
・・・娘は気を撮り直したように答える
「はい、父は奥で休んでおります」
「・・・ということは、スサノオさまは、あなたのお父上なのですか?」
「はい、わたくしはスサノオの娘でスセリと申します」
「そうでしたか・・・スセリヒメさま、お手数ですが、お父上にお取次ぎ願えませんか」
「はい、ご案内いたします。こちらへ・・・」
スセリヒメはそういうと、そっと私の手を握った・・・
温かい・・・柔らかい・・・初めて握る女性の手だ・・・心臓が高鳴るのが分かった
スセリヒメも顔を赤らめていた・・・恥ずかしそうにうつむきながら・・・
スセリヒメは私の手を引いて、宮殿の奥へをわたしを連れて行った。
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☆スセリヒメ
オオアナムチが根の国であったスサノオの娘スセリヒメ、古事記にはその生母も、また生い立ちも何も語られていません。
一方、出雲国風土記では、スセリヒメは出雲国神戸郡滑狭郷(いずものくに かんどのこおり なめさのさと)に住んでいたことになっています。その地にはスセリヒメが産湯を使ったという伝説が残る「岩坪」があり、近くにはスセリヒメを祀る那売佐神社が建立されています。
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