古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

アブと蜻蛉と天皇と

 

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これも天皇が狩りに出たときのことである。

 

天皇は椅子に座って休憩していた。その時、アブが飛んできた。

 

天皇は腕を振ってアブを追い払おうとする。しかしさすがの暴君もアブ相手にはかなわない。

アブは天皇の腕を刺し、飛んでいった。

天皇は恨めしい顔で飛んでいったアブをみつめる。

 

そこに蜻蛉(あきず、トンボのこと)が飛んできて、天皇を刺したアブを食べて、飛んでいった。

 

天皇は笑って言った

「日本を統治する天皇もアブにはかなわない・・そのアブを蜻蛉は咥えて飛んでいった。大したものよ・・

なるほど、それで日本の国のことを蜻蛉島(あきずしま)というのだな」

 

天皇が休憩したその地を、後世の人は阿岐豆野(あきずの)というようになったという。

 

暴君と恐れられた雄略天皇であるが、活発に外交を行い、海外から技術者を招いて産業育成に努めた。

当時の人々には「大悪天皇」と言われ、また「有徳天皇」とも言われ、評価が分かれた天皇であった。

 

雄略天皇崩御後は、天皇の御子であるシラカが皇位を継いだ。第22代の清寧天皇である。

しかし清寧天皇は后を迎い入れることなく、御子もなかった。このため、清寧天皇の次に皇位を継ぐ者がいなかった。

 

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☆蜻蛉

 

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とんぼのことを古くは秋津(あきつ、あきづ)と呼び、秋になると飛び交う身近に親しまれた昆虫でした。

 

イザナギイザナミが国を産んだとき、八島の最後に生まれたのが大倭豊秋津島(おおやまととよあきづしま)で、これは畿内を中心とした本州のこととされています。

 

「阿岐豆野」がどこかははっきりしません。

 

(画像は無料素材如何より)

 

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