幼少時に自分たちの食糧を奪った、猪飼の老人を処刑した天皇。しかしそんな恨みは、父の仇に比べれば小さいものだった・・
そう、父オシハの命を奪い、自分たちが漂泊する原因を作った雄略天皇・・・父オシハの御魂に報いるためには彼を処罰しなければならない。しかし雄略天皇は既にこの世のものではないのである。
そこで天皇は、雄略天皇の御陵を破壊してしまおうと考えた。そしてそれを実行すべく、側近に命じて人足を集めていた。
「陛下、我らが父上を殺した雄略天皇の墓を壊そうとされているそうですね」
「兄上、さようでございます。今、人を集めて近く出発させます」
「しかし陛下、これには人を遣わしてはなりません。これは我らが兄弟の問題であり、他人を巻き込むことではないのです。
なのでわたくしが行って、陛下の御心の通りに墓を壊してまいりましょう」
兄オケにこのように言われた天皇は
「わかりました。では兄上の意のままに行って父の仇に報いてください」
こう言って兄を送り出した。
オケは少数の従者だけ連れて、河内の多治比の高鷲にある雄略天皇の御陵に向かっていった。
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