19代允恭天皇が崩御された。次の皇太子には允恭天皇の御子のカルが指名されていた。
しかしそのカルは、同母の妹ソトオリと情を通じ合っていた。
ソトオリ(衣通王)はその美しさが衣を通り抜けて光って見えるようだというので、その名で呼ばれていた
しかしいかに古代と言えども、同母の兄妹で愛し合うことは許されないことだった。
この不倫の愛は、允恭天応の崩御後に近習一同の知ることとなった。皇太子の不倫のうわさはたちまち天下に知れ渡った。
朝廷の重臣たちも市井の民たちも、カルよりもアナホのほうが次の皇位を継ぐべきと考えるようになった。
アナホも允恭天皇の御子でカルの同母弟である。カルには4人の同母弟がいたが、中でも一番聡明と評されているのがアナホだった。
こうした朝廷の雰囲気にカルは身の危険を感じるようになった。
そして宮廷を抜けだし、家臣のオオマエコマエの家に逃げ込んだのである。そしてそこで皇軍の追撃を恐れ、武具を用意し兵を集めたのだった。
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☆近親婚
古代日本の支配階層においては、異母きょうだいの結婚は認められていました。同母きょうだいの結婚はタブーとされていました。
世界を見回してみますと、各地で近親婚は行われてきました。エジプトの王家では数百年にわたり親子きょうだい間での婚姻が繰り返されてきたと云います。
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