古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

はやぶさは飛んでいく

 

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さて、ヤタノヒメをめぐる皇后イワノヒメとの騒動に、さすがに天皇も懲りた・・・

 

・・・かと思いきや、そうでもなかった。

天皇は次に、ヤタノヒメの妹のメドリを后にしようと考えたのである。そして自分の異母弟のハヤブサワケにメドリを迎えに行くよう命じた。

 

しかし迎えに行ったハヤブサワケに、メドリは

皇后陛下がとても嫉妬深く、そのため姉のヤタノヒメは結局、宮中には入れませんでした。私はそんな思いはしたくありません。むしろ、私はハヤブサワケさまの妻になりとうございます」

と言った。

こうしてハヤブサワケとメドリは結婚した。

 

しかしそれは天皇に対する裏切りである。とても天皇に言えるわけがない。ハヤブサワケは結局、復命しなかった。

 

さて、天皇ハヤブサワケからの報告がないので、今度は自らメドリの住む屋敷に出向いていった。屋敷の入り口のに立ってみると、メドリは機を織っている。

そこで、天皇は入口からメドリに向かって言った

「愛するメドリよ、その織っている布、誰のために織っているのか」

 

・・天皇は、ハヤブサワケとメドリが夫婦になったことは知らない。自分のために織っていると、メドリに言ってほしかったのであろう。

しかし、メドリの答えは

 

「空を高く飛ぶはやぶさ上着でございます」

 

この答えに、天皇ハヤブサワケとメドリが結婚したことを知った。

 

・・そうか・・・

仕方がない。自分も父上の后となるはずのカミナガヒメと結婚した身だしな・・・

 

天皇はメドリをあきらめ宮に帰っていった。

 

それだけであれば、何事もなく事は済んでいただろう・・・しかしハヤブサワケとメドリの夫婦は、不穏な動きを見せ始めるのである。

 

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☆ウヂノワキ、ヤタノヒメ、メドリ

 

この3人、ヤカハヒメから生まれた同母の兄妹です。皇太子に指名されながらも若くして死んだウヂノワキ、皇后イワノヒメに振り回されるヤタノヒメ、メドリ・・

聖帝の仁徳天皇も、身内の争いには悩ましかったでしょうね

・・・でもその原因は自分か・・



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