古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

たぎたぎしく・・杖をついて

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居醒の清水でようやく正気をとりもどしたヤマトタケル、再び大和に向かって歩き出した。

 

しかし、草薙剣をミヤズヒメのもとに置いてきて、伊吹山の神に呪われたヤマトタケル。その足取りはおぼつかなく、今にも倒れそうだった。

 

「ああ・・・私の心は、今まで自由に鳥のように空を飛んで、どこまでもいくことができた・・しかし今、足は進まず、たぎたぎと震えるばかりだ・・・」

ヤマトタケルは嘆かわしそうにつぶやく。

その地を後世、当芸(たぎ)というようになった。

 

ヤマトタケルはそこから杖をついて、よろよろと進んでいく。

とうに体力の限界を超えていた。もはやヤマトタケルを突き動かしているのは、望郷の一念だった・・

その一念だけで杖にすがりながら、峠道を登っていった・・

 

そこは後世、杖衝坂(つえつきざか)と呼ばれるようになった。

 

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☆当芸野

 

岐阜県養老町、養老の滝近く、大菩提寺(大悲閣)の周辺と言われています。

 

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☆杖衝坂

 

 一般的には三重県四日市市にある旧東海道の杖衝坂と言われていますが、この後のヤマトタケルの行跡を見ますとどうも地理的に合いません。

岐阜県海津市に杖つき坂と呼ばれる場所があり、そちらの方と考えたほうがよさそうです。

 

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 ≪リンク≫
 
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古事記ゆかりの地を訪ねて