古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

伊吹山を降りる

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伊吹山の神の怒りにふれ、突如振り出した冷たい雨と雹は、見る見るうちにヤマトタケルの体力を奪っていった。

足は震え、体は痙攣し、目はかすむ・・・もはやヤマトタケルは、伊吹山の神を退治するどころではなくなっていた。

 

「これはいけない・・・山を降りなければ・・・」

ヤマトタケルは震える足で山を下り始めた。

 

意気揚々と登っていった山を、震える脚で降りるのにどれくらい時間がかかっただろうか・・・

どうにか山を下りたころには、ヤマトタケルの意識は既に朦朧としていた。

 

かすむ目でヤマトタケルが見たもの・・・それはこんこんと流れ出している湧水だった。

ヤマトタケルはようやくそこにたどり着くと、その湧水をすくって飲み・・・

 

そしてようやく正気に戻ることができた。

 

後の人はその湧水を「居醒の清水」(いさめのしみず)と呼ぶようになった。

 

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☆居醒の清水

 

醒井の加茂神社から湧き出しています。

 

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