既に夜明は近い。
イザナギは禊の仕上げをするために、再び川の浅瀬に戻ってきた。
イザナギはそこで左の目を洗う。パッと周りが明るく光り輝いた。
そこには一人の女神が立っていた。アマテラスの誕生である。
次に右の目を洗う。今度は辺りが柔らかな光に包まれた。
次に鼻を洗う。一瞬強い風が舞い、山も木も揺れ動いた。静寂が戻ると、一人の男神が立っていた。スサノオの誕生である。
既に夜はあけていた。朝日がイザナギと3人の子の神を照らす。イザナギはとても喜んだ。
「ぼくはたくさんの神々を生んだが、最後にこんなにも尊い神々を得ることができた・・・イザナミ、見てるかい・・・」
今は亡き妻の姿が脳裏をかすめる。
イザナギは首にかけていた首飾りを外し、アマテラスの首にかけていった。
「アマテラス・・・君は日の神だ。高天原を治め、世界を明るく照らすんだ」
次にツクヨミに向かって言う
「ツクヨミ、君は夜の世界を治め、人々が暗闇に迷わないよう導いてくれ」
最後にスサノオに向かっていった。
「スサノオ、君は海原を治めるんだ。かけがえのない日本の宝、海をしっかり守ってくれ。」
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☆ツクヨミ(月読)
イザナギは神々の最後に三貴神と呼ばれる神を産みました。この後、長女アマテラスと次男スサノオを中心に神話は進行していきます。
それに比べて長男ツクヨミの影は薄い・・・古事記ではこれ以降活躍の場は無し、日本書紀でも別伝として収録してある「一書(あるふみ)」にわずかに出てくるのみです。
もともとは日神と月神の二神だったのが、奇数を好む支那の思想を受けて、造化三神・宗像三神などと同じように「三」でそろえるためにあとからスサノオを足した、という説もあります。
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