古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

三貴神の誕生

f:id:karibatakurou:20190703052520p:plain

 

既に夜明は近い。

イザナギは禊の仕上げをするために、再び川の浅瀬に戻ってきた。

 

イザナギはそこで左の目を洗う。パッと周りが明るく光り輝いた。

そこには一人の女神が立っていた。アマテラスの誕生である。

 

次に右の目を洗う。今度は辺りが柔らかな光に包まれた。

一人の男神が立っていた。ツクヨミの誕生である。

 

次に鼻を洗う。一瞬強い風が舞い、山も木も揺れ動いた。静寂が戻ると、一人の男神が立っていた。スサノオの誕生である。

 

既に夜はあけていた。朝日がイザナギと3人の子の神を照らす。イザナギはとても喜んだ。

「ぼくはたくさんの神々を生んだが、最後にこんなにも尊い神々を得ることができた・・・イザナミ、見てるかい・・・」

今は亡き妻の姿が脳裏をかすめる。

 

イザナギは首にかけていた首飾りを外し、アマテラスの首にかけていった。

「アマテラス・・・君は日の神だ。高天原を治め、世界を明るく照らすんだ」

 

次にツクヨミに向かって言う

ツクヨミ、君は夜の世界を治め、人々が暗闇に迷わないよう導いてくれ」

 

最後にスサノオに向かっていった。

スサノオ、君は海原を治めるんだ。かけがえのない日本の宝、海をしっかり守ってくれ。」

 

前<<<  禊から産まれる神々

次>>>  スサノオ、泣きわめく

 

古事記の話 目次

 

 

ツクヨミ(月読)

 

f:id:karibatakurou:20190629070552p:plain

 

イザナギは神々の最後に三貴神と呼ばれる神を産みました。この後、長女アマテラスと次男スサノオを中心に神話は進行していきます。

それに比べて長男ツクヨミの影は薄い・・・古事記ではこれ以降活躍の場は無し、日本書紀でも別伝として収録してある「一書(あるふみ)」にわずかに出てくるのみです。

 

もともとは日神と月神の二神だったのが、奇数を好む支那の思想を受けて、造化三神・宗像三神などと同じように「三」でそろえるためにあとからスサノオを足した、という説もあります。

 

≪リンク≫

 

カリバ旅行記
温泉の話
駅弁の話