古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

スサノオの自伝 プロローグ

 

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わたしの名はスサノオ

 

ある日、気が付けば、九州のとある川の、河原で生まれていた。その時の様子・・今思い出しても、不思議な感覚がする。

 

それは、夜明の河原だった。ふと気が付くと、目の前に父のイザナギがいた。そしてわたしの横には、先に生まれた姉のアマテラスと、兄のツクヨミが立っていた。

 

母は・・・そこにはいなかった。何でも我々きょうだいが生まれる前に、火の神を産んで亡くなっていたらしい。

我々は母無くして、父親から生まれたというわけだ・・今では考えられない、まさに神代の出来事であろう。

 

父は死んだ母イザナミを連れ戻そうと、死者の国である黄泉に行ったそうだ。しかしイザナミを連れ戻すことはできずに戻ってきた。

そしてこの河原で死者の穢れ(けがれ)を落とす禊(みそぎ)をしていたのである。その禊の最中に次々と神が産まれてきた。そして最後に生まれたのがアマテラスとツクヨミ、わたしの三兄弟だったのである。

 

しかし、それをわたしが知ったのは後の話である。

突如としてこの世に生を受けたわたしは、訳が分からないでいた。

 

皆さんは想像できるだろうか・・・幼少期の記憶もなく、いきなり大人として生まれてきたわたしの心境を・・・

 

すると父は、そんな私の気持ちを知ってか知らずか、我々にそれぞれの使命を与えたのだ。

姉のアマテラスには高天原を、兄のツクヨミには夜の世界を統治するよう命じた。

 

・・・そしてわたしには、海原を統治するよう命じられたのだ。

 
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スサノオの自伝 目次

 

三貴子の誕生

 

本日よりスサノオの生涯をスサノオ自身がつづった「スサノオの自伝」を掲載していきたいと思います。拙い文章ですが、よろしくお願いいたします。

 

イザナギの禊の最後に生まれたアマテラス・ツクヨミスサノオの三神を「三貴子」と呼んでいます。

その場所は古事記によると「竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原」(つくしのひむかのたちばなのおどのあわきはら)と記載されています。その場所は諸説ありますが、宮崎市阿波岐原町の江田神社とするのが一般的です。神社の近くには禊を行ったという「御池」も存在しています。

 

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