古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

2023-01-01から1年間の記事一覧

再びの占い

神功皇后の自伝 5 夫の天皇の遺体は、殯宮(もがりのみや)に移された。そして、わたしは禊のために日本の国中の犯罪を徹底して取り締まるよう、命令を出した。 何しろ日本の国を治める天皇がこんな形で突然死に至ったのである。国中に穢れがまとわりついて…

国の穢れを祓え!

神功皇后の自伝 4 夫の天皇が亡くなった・・・わたしが占いをし、神がわたしの身体に降臨している間に・・・ わたしが意識を取り戻し、重臣の建内宿祢(たけうちのすくね)からそれを聞かされた時、驚きとともに言いようのない不安感が襲ってきた・・・ 愛す…

仲哀天皇の崩御

神功皇后の自伝 3 「オキナガタラシヒメさま・・・陛下が・・・天皇陛下が・・・崩御されました!!」 わたしは建内宿祢(たけうちすくね)の言葉に衝撃を受けた! 「え!?・・・タケウチ!それはどういうことです!?」 何しろ夫の天皇は、わたしに神が降…

詞志比宮にて

神功皇后の自伝 2 その年、夫の天皇とわたしは、大和から遠く離れた筑紫の詞志比宮に来ていた。先述の通り、朝廷に反乱を起こした熊襲を討つためである。 大和から詞志比宮についたその夜のことである。 その日、臣下の間で不穏な空気が漂っていた。というの…

神功皇后の自伝 プロローグ

神功皇后の自伝 1 わたしの名前はオキナガタラシヒメ。 父・オキナガスクネと母・カヅラキノタカヌカヒメの間に生まれた。父は第9代開化天皇を祖先に持ち、また母はその祖先をたどると新羅国王のアメノヒホコにたどり着く。 つまりわたしは、日本国天皇と朝…

白鳥となって

ヤマトタケルの自伝 後伝 3(キビノタケヒコの自伝) 「あ!・・・あれは・・・!」 御子のひとりが叫んだ。その声に、一同は御陵のほうを見上げた。 するとそこには、一羽の大きな白鳥が御陵の頂上に居た・・・ どこから現れたのだろうか、まるで御陵の中か…

御陵を造る

ヤマトタケルの自伝 後伝 2(キビノタケヒコの自伝) ヤマトタケルさまは薨去された。 わたしは急使をたて、大和に向けてすぐさまその報を知らせたのである。 そしてすぐに、大和に居たヤマトタケルさまの后と御子たちが、能煩野の地まで来たのである。 后た…

ヤマトタケルの薨去

ヤマトタケルの自伝 後伝 1(キビノタケヒコの自伝) わたしの名はキビノタケヒコ。ヤマトタケルさまに仕えていた。しかし、そのヤマトタケルさまは昨日、薨去された。 わたしはヤマトタケルさまが蝦夷征伐に向かうのにあたり、従者として伴をしていくことを…