オモイカネの自伝 8
次にスサノオの大神が仰せになりました。
「姉上、わたしは姉上が身に着けている、その勾玉をもらいましょう」
アマテラス大御神は黙って、左のみずら、右のみずら、髪を結んで入るカズラ、右の手、左の手から勾玉を外し、あわせて5個の勾玉をスサノオの大神にお渡しになりました。
するとスサノオの大神も、天真名井(あめのまない)から湧き出る神聖な水で勾玉を清めました。そしてそれを口の中に入れてかみ砕きました。
それをふーっと口の中から吐き出したのです。またもやその息は周囲に広がり、辺りは乳白色の霧に包まれました。
そして、霧が晴れてくると・・・
そこには立派な5人の男神が立っていました。
5人の名はオシホミミ、ホヒ、アマツヒコネ、イクツヒコネ、クマノクスビと申されました。
なんとも不思議なこの光景に、周りで見守っているわれわれ八百万の神は、事の成り行きについていけずにみなぼーっとしていました。まるで夢でも見ているような心地でした。
するとその感覚のなか、アマテラス大御神の凛とした声が貫いたのです。
「最初に生まれた3人の女神は、スサノオの持ち物から生まれたのでスサノオの子です。次に生まれた5人の男神は、私の持ち物から生まれたのでわたしの子です」
これを聞いたスサノオの大神は、勝ち誇ったように仰せになりました
「ほらごらんなさい、姉上! わたしの心が清く正しいことが証明されました!その証拠に、生まれた子は美しくか弱い女神だったではありませんか!!」
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☆5人の男神
アマテラスの子である5人の男神。このうち長男のオシホミミが皇室の祖先になりました。
また、次男のホヒは出雲国造の祖先になっています。
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