古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

スサノオの悪行

オモイカネの自伝 9

 

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スサノオの大神は、勝ち誇ったように

「わたしの心が清く正しいことが証明されました!その証拠に、生まれた子は美しくか弱い女神だったではありませんか!!」

と、仰せになりました。

 

アマテラス大御神も

「確かにその通りです。疑って悪かったですね」

と、お認めになりました。

 

しかしスサノオの大神は、確かに高天原を乗っ取ろうという邪心こそなかったものの、そのわがままで乱暴者の本性は何ら変わってなかったのです。

 

「母の国に行く前に姉のアマテラスに挨拶に行く」といって高天原に昇ってきたスサノオの大神でしたが、高天原の居心地が良かったのか、すっかりここに居ついてしまいました。いや、それだけなら、別にいいのですが・・

 

自分の主張が認められたことに気をよくしたのか、スサノオの大神はその本性をあからさまにむき出してしまったのです。

もうその行動は、ひどいものでした。

 

スサノオの大神は、アマテラス大御神が作る神田の畔を壊し、水路を壊して埋めてしまいました。

また、神々が祈りをささげる神聖な神殿に、糞をまき散らしたりしたのです。

わたくしの配下の神々からは、連日のように、スサノオの大神の傍若無人で信じられない行動の数々を報告があがってきました。

 

わたくしは何度も、スサノオの大神の行動について、アマテラス大御神に訴えに行きました。しかし、アマテラス大御神は、スサノオの大神をかばって仰せになるのでした。

 

「田の畔を壊し水路を埋めるのは、本来そこが緑豊かな土地なので、このようなものを作っては惜しいと思われているのでしょう」

「糞のように見えますが、酒に酔ってついつい吐いてしまったのでしょう。酒癖の悪さはわたしからよく注意しておきます」

 

こう言われて、一切とがめだてはされませんでした。アマテラス大御神には、弟であるスサノオを疑ってしまったという負い目を感じておられたのでしょうか。

 

しかしアマテラス大御神が何も言わないことをいいことに、スサノオの大神の行動はますまひどくなっていきました。

 

わたくしはいつか、スサノオの大神が一線を越えて、とんでもない事態になるんではないかと危惧しておりました。

 

そして・・・ついに、その日がやってきたのです 。

  

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オモイカネの自伝 目次

 

 

☆荒れすさぶスサノオ

 

このあたりではスサノオはまさに荒々しい神としての一面を見せています。

 

スサノオの名は「荒れすさぶ」という意味だとされています。現代語で「すさんだ心」などという時の「すさぶ」と語源は同じです。

(諸説あります)

 


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