古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

ナマコ

ニニギの自伝 10

 

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サルタビコを伊勢まで送り届けたウズメが帰ってきた。

 

「ウズメ、ご苦労だった」

 

「恐れ入ります。

それで、ニニギさま、サルタビコ殿をお送りし、帰る途中でのことでございますが・・・」

 

そういって、ウズメは旅の途中の出来事を語り始めた。

 

ウズメは海に出て、大きな魚や小さな魚、とにかく海の魚をことごとく全部集めたそうだ。そして魚たちに

高天原から天の御子が高千穂に降臨した。お前たちは、天の御子にお仕えするか?!」

と、問うたそうだ。

 

集まった魚たちはみな口々に「お仕えします」と答えた。

ところが、一匹だけ何も言わない魚がいた・・・ナマコだ。

 

ウズメはナマコをつかむと「なぜおまえは答えないのだ?!この口は何も言えぬ口だな!」

 

そういうと、ウズメは持っていた刀で、ナマコの口を切り裂いてしまったそうだ。

 

・・・わたしは何も言えなかった。まあ、男勝りで思ったことをすぐ行動に起こす、ウズメらしいやり方ではあるが・・・

 

しかしナマコも気の毒だ。この先、未来永劫、ナマコの一族は裂けた口のまま海で暮らしていかねばならぬのだろう。 

  

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ニニギの自伝 目次

 

☆ナマコ

 

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(画像はQPONより)

 

ナマコの口、裂けているというのか・・・まあ不気味な形はしていますが・・

日本人にとって、神話の時代から身近な生物であったことは間違いないようです。

 


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