古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

アシハラシコオ

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オオナムヂという若い神が、根の国のわたしのもとに訪ねてきた。

 

わたしは一目で見抜いた。そいつが普通ではない、とんでもないやつであることを・・・

この若い神は、とてつもない霊力を持っている。その気になれば日本を支配することも簡単にできるだろう。そんな神が、なぜこんな根の国のわたしのもとを訪ねてきたのだ・・・

 

それに、娘のスセリヒメの様子もおかしい。オオナムヂも平然とはしているが、スセリヒメのほうを意識している・・・

・・・こいつら、恋に落ちているな・・・

 

わたしは、オオナムヂに向かって言った

 

「・・・お前、アシハラシコオだな・・・」

 

「え?・・・それはどういう意味ですか?」

オオナムヂは戸惑ったように訪ねてきた。こいつ、自分の霊力に気が付いていないのか・・・

 

「今にわかる。それよりお前、なぜ日本から、こんなところに来たのだ?」

「はい、それは・・」

 

オオナムヂはここに来たいきさつを話し出した。

なんでもオオナムヂは、わたしと妻スセリヒメとの、6代目の子孫らしい。

  

 わたしが出雲の統治を子供に譲り、根の国に隠居してからすでに何百年もの年月が立っていた。

その間、出雲の国では代々、わたしの子孫が出雲の国を統治してきたが、6代目になって兄弟間で内輪もめがおこっているらしい・・

 

 

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スサノオの自伝 目次

 

 ☆アシハラシコオ

 

 

古事記では、スサノオはオオナムヂを見て最初に開口一番「こいつはアシハラシコオだ」と言ったとされています。

「アシハラ」は葦が豊かに茂るところの意味で、すなわち瑞穂の国、日本のことです。

「シコオ」は漢字で書くと「醜男」ですが、ここでは「醜い男」ではなく「強い男」の意味です。

 

スサノオはオオナムヂを「こいつは日本の将来を背負う男だ」と考えたのでしょうか。


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