古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

仁徳天皇の即位

 

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反逆者オオヤマモリを誅殺した皇太子ウヂノワキ。そしてウヂノワキは応神天皇の後を継いで天皇に即位した・・

 

 

・・訳ではなかった。

 

ウヂノワキは、次の皇位はオオサザキが継ぐべきだと言って、天皇の座を辞退したのである。

 

ウヂノワキは言う

「私は弟です。まだまだ未熟で政務を取り仕切るには知識が不足してます。兄上は父の先帝の信頼を得て、国政の実務を難なくこなしてきております。次の皇位は兄上が継いで日本の国を繁栄させるべきです。」

 

これに対してオオサザキは

「父上はお前を皇太子にした。これは一日たりとも皇位を開けてはいけないという、先帝の深い考えによるものだ。お前が皇太子であることは国中が知っており、お前が皇位を継いでこそ天下は安定する。皇位をを継ぐのはお前以外にない」

と、あくまでも皇位はウヂノワキに継がせる考えであった。

 

こうして二人の御子は互いに皇位を譲り合ううちに幾多の月日が過ぎてしまった。

 

その間、海人(あま)が、海産物の献上のため朝廷を訪れた。しかし、皇太子ウヂノワキのもとを訪れると

「次の天皇はオオサザキである。これはオオサザキのもとに届けよ」と言われ、

 

次にオオサザキのもとを訪れると

「ウヂノワキが皇太子であり、次の天皇である。ウヂノワキのもとに届けよ」と言われる。

 

オオサザキとウヂノワキのもとを何度も行ったり来たりしている間に献上品の海産物は腐ってしまい、ついに海人は泣き出してしまったという。

 

しかし、ウヂノワキは病にかかり、崩御してしまった。そのためオオサザキが皇位を継ぐことになった。第16代の仁徳天皇である。

 

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☆ウヂノワキは

 

古事記では崩御されたというだけで、死因は記述されていません。日本書紀ではオオサザキに皇位を譲るために自死したとあります。

 

古事記中巻 完結

 

神代の物語を受けて神武東征・ヤマトタケル神功皇后と進んできた古事記中巻、これで完結です。

次の古事記下巻は、慈愛の政治や世界最大の陵墓で知られる仁徳天皇の物語から始まります。

 

≪リンク≫
 
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