急ぎ天皇の遺体を裳宮に安置した。
さらに国中に犯罪を取り締まるよう通達を出し、生きたまま獣の皮をはいだもの、逆さにして獣の皮をはいだもの、田を壊したもの、水路を埋めたもの、神域での放糞、近親相姦、獣姦など、ありとあらゆる犯罪者を捕らえた。
こうして国としての穢れを祓ったのだ。
そのうえで、再び皇后を神の依代として、神託を請う占いの儀式が行われた。
かがり火の前で、先日と同じく皇后祝詞を唱えていた。と、その祝詞が止んだかと思うと、皇后は神の言葉を告げる。
「皇后は懐妊している。この国は皇后の中にいる御子が治める国である」
意外な言葉に、その場にいたものはみな息をのんだ。
一瞬の静寂の後、建内宿祢が口を開いた。
「恐れいりますが、その子はどのような御子でございますか?」
その問いに皇后に降りた神は答える。
「男子である」
建内宿祢はもう一度問いかけた
「恐れ入りますが、大神様、御名をお教えくださいまし」
皇后は
「これはアマテラス大御神の御心である。我はソコツツノオ、ナカツツノオ、ウワツツノオの住吉三神である。
今、西方の国を求めようと思うのなら、天神地神、山の神海の神ことごとく祀り、我が住吉の御霊を船上に祀るがよい。
さらに神木の灰を瓢箪に入れ、箸と柏の葉の皿をたくさん作って、それを海に流して浮かべるのだ。こうやって渡海すれば、そなたの国はきっと繁栄するであろう」
と述べ、そして依りついた神は帰っていったようだった。
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☆住吉三神
ソコツツノオ、ナカツツノオ、ウワツツノオの住吉三神、イザナギが黄泉の国に行き、帰ってきて禊をしたときに産まれた神です。航海の神として祀られています。
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