古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

新羅は降伏した

神功皇后の自伝 13

 

 

わたしは建内宿祢(たけうちすくね)をはじめ数名の重臣を伴い、兵士に護衛されながら船を降りた。そして、白旗を上げている新羅の国王の元へ、ゆっくり歩いていた。

 

わたしは新羅国王の前まで来た。

新羅国王は、わたしの前でうつむき、膝まづいた・・・完全に敵意はないようだ。

 

新羅国王は言う

新羅の国を建てて以来、東の方から大波が来て海が国に乗り上げるということはかつてこれまでございませんでした・・

わたくしは聞いたことがあります。東の方に神の国があり、天皇が君臨し、統治されていると・・」

 

「いかにもわたしは、東の日本から来ました。わたしはその現人神である天皇の皇后であり、摂政として日本の国を治めています」

わたしは答えて言った。

 

新羅国王は続けて言う

「ああ、それは・・・恐れ多いことでございます。

そんな国と戦ったところで、我々に勝ち目はないでしょう。これからは船を絶やさず日本に朝貢いたします

・・・どうか日本の天皇の臣下としてお仕えすることを許していただけませんか」

 

この時、私のそばに控えていたある重臣が、朝廷の権威を保つ為にも新羅国王を殺すべき、と進言してきた。

 

しかしわたしは

「今、神のお告げによって宝の国を得たのですから、自ら降伏してきたものを殺す道理はありません。それこそ神のご威光に反する行いでしょう」

と言って、新羅国王が日本の臣下に入ることを許したのだった。

 

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神功皇后の自伝 目次

 

 

 

新羅

 

日本書記ではこの時の新羅の王の名を「波沙寐錦」(はさむきむ)と記されています。

これは新羅の第5代国王の「婆娑尼師今」(パサ・イサグム/ばさ・にしきん)のことだとされています。

 

 

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