・・・・・
どれくらいの時間が立ったのだろうか・・・
わたしは気が付いた・・・私が眼を開けると、そこに見たものは・・
母だった。
母が心配そうに、私を見ていたのだ・・
「・・・母上・・・」
「ああ、オオナムヂ!気が付いたんだね!よかった!」
母は涙を流しながらわたしに抱き着いてきた。うれしさのあまり、感極まったのだろう。
「・・・母上・・いったいこれは、どうしたんです?・・」
「オオナムヂ!お前はお兄様方に殺されたんだ!それをこちらの二人の女神さまが助けて下さったんだよ!」
母の後ろには、これも喜びあふれる表情で私を見つめている二人の女神がいた。
キサカイヒメとウムガイヒメだ。キサカイヒメは赤貝の女神、ウムカイヒメはハマグリの女神だという。
異母兄の策略にはまってわたしは真っ赤に焼けた大岩に潰されて死んだ。出雲でその話を聞いた母は、取るものもとりあえず伯耆の手間山に駆け付けたそうだ。そして大岩に潰され、焼け死んだわたしを見つけた。
母はとても悲しんだそうだ。もう涙も枯れるかというくらい・・
そして意を決した母は、高天原に昇って行った・・・造化三神のひとり、カミムスビさまにわたしをいきかえらせてもらえるよう頼んだそうだ。
母の話を聞き憐れんだカミムスビさまは、キサカイヒメとウムカイヒメを私のもとに遣わしてのだ。
二人の女神は自分の身体を削って秘薬を造り、わたしの体に塗ったそうだ。
こうしてわたしは、母神とキサカイヒメ・ウムカイヒメの力で、よみがえることができたのだった。
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☆清水井
赤猪岩神社の近くにあります。キサカイヒメとウムカイヒメが自らの体を削り、この泉の水で練って秘薬を作ったといわれています。
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