古事記の話

古事記を小説風に書き直してみました

タケミナカタの答え

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わたしは次にタケミナカタのほうを振り向き言った

タケミナカタ、お前はどう思う?」

 

しかし、振り向いた先には、タケミナカタはいなかった。あれ、どこに行ったのだ?

辺りを見回した。すると・・・

 

タケミナカタは、浜の波打ち際にいる、タケミカヅチに向かって歩いていたのである。どこから持ってきたのだろうか、頭上には大きな岩を両手で持ち上げている。

千人がかりでも持てないほどの大岩である。

 

タケミナカタは、タケミカヅチに向かって言う

「この日本の国は、父上が苦労して築き上げたものだぞ!それを、国が豊かになったら、本来は自分のものだから返せとは、何たる勝手な言い分!

そんな要求がのめるか!帰れ!」

 

タケミカヅチの声に勝るとも劣らぬ、恐ろしい大声である。その声は海の果てまで響き渡るほどだ。

言ったかと思うと、タケミナカタは頭上に掲げた大岩を、タケミカヅチに向かって放り投げた。

大岩はタケミカヅチの頭上すれすれを飛んでいき、はるか遠くの海上にドボンと落ちた。その衝撃で海は大きく波立つ。

 

タケミナカタは勇猛果敢な軍人である。軍勢の司令官として数々の戦いに出陣し、幾度も死線を潜り抜けてきた猛者だ。

 

もっとも、タケミカヅチにしても、この程度の脅しに何も動じることは無かった。剣の切っ先にあぐらをかいたまま、近づいてくるタケミナカタをにらみつけていた。

 

タケミナカタは一歩、また一歩とタケミカヅチに近づいていく。

 

わたしは黙って成り行きをを見守っていた

  

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 ☆タケミカヅチ

 

茨城県鹿嶋市鹿島神宮に祀られています。中臣氏・藤原氏氏神として、また武家の間で軍神として信仰を集めてきました。

 

鹿島神宮 wikipedia

 

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